- 2008-11-13 (木) 0:03
- MLB Playback
一昔前には考えられなかったことが現代では当たり前ということは多々あるが、指名打者制度というのもその一つに挙げられるだろう。投手の代わりに打撃専門の野手を用意するという制度は、アメリカンリーグで試験的に導入されたのは1973年のことで、正式に導入が決まったのは1976年シーズンからである。現在のメジャーリーグではもちろん世界的にも導入が進んでいることを考えると、賛否両論はあるが画期的な制度であると言える。
この指名打者制度を最初に提案したのはアスレティックスの名物オーナーとして知られるチャールズ・フィンリーである。数多くの奇抜なアイデアを投げかけ、メジャーリーグに波紋を投げかけたのだが、指名打者制度の提案はその一つである。その他には試合短縮のために四球から「三球」にする提案や、見やすくするためにオレンジ色のボールを使用する提案などがある。その他、アスレティックスのユニフォームに当時としては珍しく黄色を入れたり、選手に口ひげを伸ばさせたりとその動向には常に注目が集まった。
アメリカンリーグが指名打者制度を試験的に導入することを決めたのは1972年末のことである。当初はアメリカンリーグだけでなくナショナルリーグも合わせて導入しなければいけないという意見があったが、アメリカンリーグだけが1973年からの3シーズンで試験的に導入することを決めた。背景としては観客動員でアメリカンリーグがナショナルリーグを大きく下回っていたということが挙げられる。その穴を埋めるべくアメリカンリーグが導入に踏み切ったというのが正しいところである。
その成果はすぐに出て、1973年のアメリカンリーグの観客動員数は前年より17パーセント増加した。当然、アメリカンリーグ全体の打率は上がり、防御率は下がったのである(詳細は以下の通り)。
National League American League
YEAR AVG HR ERA AVG HR ERA
----------------------------------------------
1970 .258 1683 4.05 .250 1746 3.71
1971 .252 1379 3.46 .247 1484 3.46
1972 .248 1359 3.45 .239 1175 3.06
1973 .254 1550 3.66 .259 1552 3.82 ★AL-指名打者制度試験的導入
1974 .255 1280 3.62 .258 1369 3.62
1975 .257 1233 3.62 .258 1465 3.78
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1973年以降のアメリカンリーグのリーグ成績はそれ以前と比べると明らかに安定した数字となっている。指名打者制度はベテラン選手の寿命を延ばすことにもつながったのである。トニー・オリバ、フランク・ロビンソン、オーランド・セペタらが挙げられる。多くの反対意見はあったが、集客能力の成功が方向性を決定づけた。1976年シーズン以降の正式導入が決まったのである。
しかし、選手寿命は延びたが人件費の高騰という問題も出てきた。さらに指名打者専門の選手はMVPを取りにくいという問題も表面化しているのも事実である。また、リーグ間で差分のあるルールをどう捕らえるかも考える必要がある。ナショナルリーグの投手が野手並みの打撃が常に求められているわけではなく、必要な場合は代打を送られるのが常である。ナショナルリーグのこの点を、アメリカンリーグの指名打者制度のミニ版と評する意見もあり、議論の結論は出ない。ルールの差はチーム構成、戦術面で埋まると考えるのが正しいのかもしれない。
<written by Kenji@webmaster>
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