- 2008-10-29 (水) 0:04
- MLB Playback
1960年のワールドシリーズは、黄金時代を迎えていたヤンキースと、35年ぶりのリーグ優勝を果たしたパイレーツの対戦となった。ヤンキース有利が叫ばれる中、劣勢とされたパイレーツが奮闘。第7戦までもつれ込むと、9対9で迎えた最終回にビル・マゼロスキーが価値あるサヨナラHRを放ち、パイレーツが世界一の座を勝ち取ったのである。
パイレーツは投にバーロン・ロー、打にロベルト・クレメンテを抱えており、マゼロスキーは守備の人である印象が強かった。対するヤンキースはミッキー・マントル、ロジャー・マリス、ヨギ・ベラを抱える打撃のチームであり、投手の軸にはホワイティ・フォードがいたのである。ヤンキースの打棒がパイレーツを打ち負かすだろうというのが大方の予想であった。
第1戦はローの好投で接戦を制したパイレーツだが、第2戦からは3対16、0対10と2戦連続で大敗を喫した。第4戦と第5戦は再び接戦となるが連勝し、先に王手をかけたのはパイレーツだったのである。しかし、第6戦は再びヤンキース打線が大当たりし、0対12で敗れてしまい、パイレーツにとっては苦しい状況となった。
第7戦はパイレーツが序盤に4点を先制。しかし、ヤンキース打線の爆発により4対7と一時は逆転される厳しい展開。8回裏のパイレーツの攻撃、イレギュラーバウンドした打球がヤンキースのショートストップであるトニー・クーベックの顔面に当たり、クーベックはそのまま退場。ここからチャンスを掴んだパイレーツは、ハル・スミスの3ランHRなどで一挙5点を奪い逆転を果たした。このまま食い下がるヤンキースではなく、9回表に2点を奪い、試合は9対9で9回裏のパイレーツの攻撃を迎える事となったのである。
9回裏の先頭打者として打席に入ったマゼロスキー。マウンドのラルフ・テリーから、マゼロスキーはレフトスタンドを越えるサヨナラHRを放ち、劇的な形でパイレーツ世界一をもたらしたのである。右手を振り回してベースを回るマゼロスキーに、スタンドからファンが乱入し、この劇的な世界一の瞬間を共有したのである。ちなみに、マゼロスキーの打球がレフトスタンドに飛び込むのをレフトを守って見上げていたのは、本来は捕手であるベラであったという。パイレーツが勝つときは接戦で、ヤンキースが勝つときは大勝という特徴が出たこのシリーズだが、シリーズ7戦でパイレーツの総得点は27点に対し、ヤンキースは55点だったのである。
ワールドシリーズがサヨナラHRで決した例としては1993年のブルージェイズ世界一が挙げられる。この年、サヨナラHRを放ったジョー・カーターは、マゼロスキーがサヨナラHRを放った1960年に生まれている。次にワールドシリーズがサヨナラHRで決する瞬間を見るには、1993年生まれのメジャーリーガーの誕生を待たなければいけないのだろうか。
<written by Kenji@webmaster>
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